行政書士業務はテレワークに向いているか?/新型コロナウイルスで緊急事態宣言
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行政書士
行政書士業務はテレワークに向いているか、について考えてみたいと思います。
行政書士はテレワークに向いているのか
新型コロナウイルスが蔓延する中、私の事務所のある地域も、緊急事態宣言が出されました。
自宅開業している人は、自宅で仕事ができるでしょうから、問題なさそうに見えますが、実際は、お客さんに捺印をもらったり、役所に書類提出に行ったりする必要もあるので、難しい点もあります。
テレワークを阻む問題点
紙がメイン
行政書士の仕事は、ほとんどが書類作成です。
それは自宅でもできるでしょう。
しかし、役所に提出する書類というのは、「データのみをメールで送信して完了」というわけにはいかず、紙の状態で提出しなければいけません。
ここで申請先に行くため、外出する必要があります。
(緊急事態宣言下では、郵送OKになっていると思いますが、それでも郵便局やポストには行かねばなりません)
補助者が居る場合はもっとテレワークに移行し難いです。
補助者が、自宅のパソコンで書類データを作ったとしても、それを行政書士本人が、プリントアウトしなければいけないとしたら、手間だからです。
外部のパソコンから事務所のプリンターが使えるように設定されていればいいですが、そのシステムを構築するには結構、お金がかかります。
また、補助者は、書類に関しては、データの作成だけでなく、書類を並べたり、整えたり、郵送準備をしたりするなど、物理的にもする作業が多いです。
ハンコが必要
紙がメインとなっている、最大の理由は、「ハンコが必要」だからでしょう。
多くの書類では、印鑑証明書も添付しないのに、法人の実印の押印が必要だったりします。
ハンコをもらうためには、お客さんに会わなければいけません。
お客さんから捺印をもらうやりとりも、郵送で済めばいいのですが、書類が大量にある場合は、押印箇所を間違えたりするなどして、お客さんにとっても大変です。
行政書士が実際にお客さんに会って、書類内容や、押印箇所を説明することができたほうがいいです。
面談はテレビ電話でも可能でしょうけれど、書類の説明は難しいですよね。
資料が大量
自宅で、個人事務所で一人で開業している行政書士は、資料は自分の家にあるのだから、テレワークが可能でしょう。
しかし、自宅以外に事務所があったり、共同事務所だったり、補助者がいる事務所は、大量の資料がネックとなります。
書類作成の際は、資料を参考にします。
その資料は、過去の申請書類だったり、書籍だったり、いろいろです。
すべてスキャンによってデータ化されていて、共有できる状態ならば、テレワークが可能かも知れませんが、大量の資料がすべて紙ベースの場合は、結局、それらが必要になるので、テレワークできません。
最後に
結論として、無理すればテレワークも可能ではないものの、基本的に、行政書士業務はテレワークに馴染まないと思いました。
私は司法書士事務所で働いていたことがありますが、司法書士事務所なら、まだテレワークに馴染めるかなと思いましたが、登記でも、結局、最後は、書類を郵送しなければならないため、補助者がテレワークすることは難しいでしょう。
行政書士は、できるだけお客さんと、電話や郵送でやりとりするなどして、会わないようにして、仕事を進めるしかないのかも知れません。
P.S.
仮に、このコロナ禍を機に、世の中のシステムが大幅に変わって、すべて郵送で申請ができたり、インターネットのみで手続きが完了するようになって、手続きが簡単になったならば、できる人は自分で手続きをするようになってしまって、行政書士の仕事はちょっと減るのかも知れないな、なんて思いました。